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    美への執念と大衆の欲望~映画「サブスタンス」 落ち目の女優エリザベス(デミ・ムーア)が、得体のしれない再生医療「サブスタンス」に手を出す。接種すると背中が割れ、若いスー(マーガレット・クアリー)が分身として現れる。テレビ局のオーデ…

  • 塀の外と内が織りなすドラマ~映画「金子差入店」

    塀の外と内が織りなすドラマ~映画「金子差入店」 政治家は、塀の上を歩くといわれた。落ちた場所が刑務所の塀の外側か内側かは全くの偶然、というわけだ。この塀の外と内が織りなすドラマを映画にしたのが「愛について、ある土曜日の面会室」(

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    名声や富でなく~映画「リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界」 リー・ミラー。「ヴォーグ」のモデルとして出発、シュールレアリズム写真家マン・レイの弟子兼愛人を経て写真家。商業、芸術から従軍報道写真に分野を広げた。第二次大戦末期の写真は歴…

  • 破滅型写真家の「ミューズ」~映画「レイブンズ」

    破滅型写真家の「ミューズ」~映画「レイブンズ」 写真家・深瀬昌久の半生を映画化した。冒頭で「現実にヒントを得た物語」とコメントが入るとおり、大胆に深瀬の生きざまを再編集している。その象徴的キャラクターが「ヨミチャン」と呼ばれる大き…

  • 語り合う人生の真実~映画「ドライブ・イン・マンハッタン」

    語り合う人生の真実~映画「ドライブ・イン・マンハッタン」 真夜中のJ・F・ケネディ空港。一人の女性がタクシーに乗り込んだ。目的地はマンハッタン44丁目。はじめはぎこちなかった運転手との会話が、やがて熱を帯びる―。 ほぼワンシチュエーショ…

  • 心境小説の名手~濫読日記

    心境小説の名手~濫読日記「文品 藤沢周平への旅」(後藤正治著) 藤沢周平の時代小説は何冊か読んだが、いずれも文庫本である。全集の刊行は知っており、そのうち…と思い書店で問い合わせると、廃刊寸前だという。諦めずトラ…

  • 意味深なラスト、どう読む?~映画「アノーラ」<br /><br />意味深なラスト、どう読む?~映画「アノーラ」

    意味深なラスト、どう読む?~映画「アノーラ」 久しぶりに面白い映画を観た。「プリティウーマン」を思わせる前半からリアルな現実が引き起こすドタバタ劇、そして突然の意味深なラスト―。 アニー(マイキー・マディソン)はNYで性的サービス…

  • 恐怖の記憶と向き合った建築家~映画「ブルータリスト」

    恐怖の記憶と向き合った建築家~映画「ブルータリスト」 ナチによるホロコーストから逃れ米国に移住した建築家が、恐怖の記憶と向き合い、自らの思想を体現した建築物を遺した、という話。フィクションだが、計200分と長い。そのため、インターミッションが…

  • 再び動乱の地に向かった作戦の鬼~濫読日記

    再び動乱の地に向かった作戦の鬼~濫読日記「辻政信の真実 失跡60年―伝説の作戦参謀の謎を追う」(前田啓介著) 日本の近代史の中で、気になる人物が何人かいる。辻政信もその一人だ。副題の通り、日本軍の作戦参謀として知られた…

  • 飼育された自我の行方は~映画「籠の中の乙女」

    飼育された自我の行方は~映画「籠の中の乙女」 「憐れみの3章」や「哀れなるものたち」が公開され、いまや鬼才といっていいヨルゴス・ランティモス監督の初期の作品。期待にたがわず奇妙で怖くて戦慄の走る作品だった。 プール付きの豪邸に住む家族が主人公。全権を握る父親は、なぜか徹底的に…

  • 背景に国家と宗教の確執~映画「ファイアーブランド ヘンリー8世最後の妻」

    背景に国家と宗教の確執~映画「ファイアーブランド ヘンリー8世最後の妻」 イングランド・テューダー王朝第2代国王ヘンリー8世(在位期間1491-1547)。初期は文筆家、作曲家として知られ教養人と目されたが、晩年は横暴で偏狭な権力者だった。6度の結…

  • 日本社会のいびつさを告発~濫読日記

    日本社会のいびつさを告発~濫読日記「対馬の海に沈む」(窪田新之助著) 対馬のJA(農協)職員が2019年、自殺と思われる死を遂げた。ただの職員であれば、日常の一コマとして、…

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    少し喜劇的に少し悲しげに~映画「蝶の渡り」 ジョージア。昔はグルジアといった。スターリンの生まれた地。1991年、ソ連崩壊とともに独立した。直後にアブハジア独立を巡り紛争が起きた。ロシアがアブハジアを承認、背後についたため…

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    降伏後に流された血~濫読日記「日ソ戦争 帝国日本最後の戦い」(麻田雅文著) アジア・太平洋戦争の末期、降伏寸前だった日本に、ソ連は宣戦布告し攻勢をかけた。満州、朝鮮半島北部、南樺太、そしていわ…

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    生活保護最前線を舞台に~映画「悪い夏」 隠語で「ナマポ」。生活保護の攻防最前線が舞台。原作は「正体」の染井為人。 ある市役所の生活福祉課に勤める佐々木守(北村匠海)は、実直に仕事をこなしていた。そんな折り、同僚の宮田有子(伊…

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    転機迎えた欧州の戦後体制~濫読日記「西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか」(エマニュエル・トッド著) IMFが発表した2024年の世界各国のGDP(国内総生産)を見ると、ロシアは1…

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    新教皇に重大な秘密~映画「教皇選挙」 世界に14億人の信徒を持つカトリック教会。そのトップが急死した。3日後、後継を決める選挙が始まった。コンクラーベ(教皇選挙)である。日本語の「根競べ」に例えられるほど、延々と続く手続き。 バチカン…

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    ガザの悲劇の前夜を描く~映画「ノー・アザー・ランド」 ヨルダン川西岸の南の端にマサーフェル・ヤッタがある。イスラエルはここに軍事演習場を一方的に設定。住居を違法と認定し軒並み破壊していく。ブルドーザーで叩き潰し、井戸は生コンで埋める。住民の声など聴く耳は持たない。

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    ディランの若き日々、淡々と~映画「名もなき者」 レコードプレーヤーを買った。古いLPを聴くためだ。若いころ、4畳半の下宿に不似合いな、でかいコンポを置いていた。聴いたのは、主にフリージャズ。コルトレーン、セロ…

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    稀有な才能の間を舞う~映画「ゆきてかへらぬ」 詩人の中原中也は幼少のころ神童と呼ばれたが、山口中(現・山口高)では文学に没頭、落第した。これを契機として京都・立命館中に転校、一人で下宿生活を始めた。1923年のこと。17歳で、…

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    虚実ないまぜ、B級作品~映画「アプレンティスドナルド・トランプの創り方」 いまやニュース画面に「トランプ大統領」が出ない日はない。それも期待感を込めて、ではなく「今度はどんな…

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    政治ノンフィクションの新境地~濫読日記「宿命の子 安倍晋三政権クロニクル」(船橋洋一著) 政治分野のノンフィクションは、米国を中心にしたジャーナリストの手によるものが、質量とも豊かである。例えばニ…

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    生きづらさ抱えた二人は…~映画「リアル・ペイン」 祖母ドリーの死を契機に、しばらく会うことのなかったいとこ同士が、彼女のルーツを確かめる旅に出る。デイヴィッド(ジェシー・アイゼンバーグ)とベンジー(キーラン・カルキン)。祖母はポー…

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    スローライフの夢破れて~映画「嗤う蟲」 「〇〇ムラ」という。例えば「原子力ムラ」「永田ムラ」。神島二郎著「日本の精神構造」に「第一のムラ=自然村」「第二のムラ=擬制村」の分析があり、前者が共同の生活様式=習俗に依拠した連帯感で成り立つのに対し、後者はそ…

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    手堅くまとめた心理劇~映画「満ち足りた家族」 二組の家族が、一つの事件に巻き込まれる。対応を巡って微妙に揺れる心。善と悪、罪と罰への感情が変化し、入れ替わり、ついに破滅へと向かう。そんな心理ドラマをサスペンスフルに描いた。 …

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    生きづらさ抱える在日3世~映画「港に灯がともる」 主人公は二十を迎えた女性。社会的矛盾にぶち当たり怒り、煩悶する。この感じ、どこかで味わった。昭和の熱い社会ドラマの再現ではないか。「若者たち」や、吉永小百合がデビューした「キューポ…

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    老境の元大学教授を襲うのは~映画「敵」 小津安二郎の作品に「晩春」(1949年)がある。大学教授の父は結婚を願うが、娘は父の暮らしぶりが心配でその気になれない。周囲の説得で結局は結婚。父は誰もいない家でリンゴの皮をむいてい…

  • 村に押し寄せる開発の波~映画「太陽と桃の歌」

    あけましておめでとうございます 激動の予感がする2025年があけました。 ところで、昨年末にブログの引っ越しをしました(ss→seesaa)。自動転送になっていますが、新しいurlに変更…

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    不意に開いた人生の出口~映画「山逢いのホテルで」 パンフレットには「大人のラブストーリー」とあるが、これは恋愛映画なのか。もっと深いところで人生の岐路に立った女性の苦しみ、哀しみを描いた作品に思える。 スイスアルプスを…

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    都市の下層に潜む恐怖の記憶~映画「占領都市」 オランダ・アムステルダム。運河で知られるこの都市は1940年から5年間、ナチス・ドイツに占領された。ユダヤ人を中心に10万7000人が収容所に移送され、生き残ったのはわずか

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    底の浅さが気になる~映画「正体」 思わせぶりなタイトルと違い、ストーリーはシンプル。一家…

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