メインカテゴリーを選択しなおす
下記は、「報道されない中東の真実」国枝昌樹(朝日新聞出版)の「あとがき」の一部ですが、シリアを知る人の「本音」が書かれていると思います。注目すべきことは、10年以上前に書かれた文章なのに、ガザに関することも、シリアに関することも、現在の状況を伝えているかような内容であることです。ガザの人たちが、”イスラエル軍のなすがままに殺され続けている”とか、”平和だったシリアがなぜ今これほどの破壊と絶望に襲われなければならないのか、無数の「なぜ」が心の底から噴出してくる?”とか、そこここに、心に刺さる文章や言葉があります。それは、国際社会が、アメリカやイスラエル、また、西側諸国の「権力」の戦略で動いきたことを示していると思います。多くの国や国際組織が、「阿諛追従」しているような状態にあり、「力の支配」が続いてきたこと...「力の支配」、阿諛追従(アユツイショウ)の国際社会
先月末、朝日新聞は「ガザの乳児3人が寒さで死亡」と伝えました。また、しばらく前には、「ガザ全域を飢餓が覆い、子どもが次々に餓死している」と伝えていました。いずれも緊急の対応が必要なのに、停戦の話は一向に実現せず、私は最近、停戦の話がでるたびに、それが国際世論を惑わすためのイスラエルとアメリカによる引き伸ばし作戦のような気がしています。停戦、停戦と言って多くの人々に期待を持たせ、その間に、ガザやヨルダン川西岸地区のパレスチナ人殲滅・追い出しを進めようとしているように思います。ほんとうは、停戦する気がないのではないかと疑っているのです。それは、イスラエルの国会が、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の国内活動・接触禁止法案を可決していることに示されているように思います。また、見逃せないのは、国際刑事裁...覇権大国による国際刑事裁判所に対する制裁と力の支配
先日(12月25日)、朝日新聞の「オピニオン&フォーラム」の欄に「SNSが壊したもの」と題する、見逃すことのできない長文の記事が掲載されました。筆者は、佐伯啓思・京都大学名誉教授で、著書は数え切れないほどあり、日本を代表する思想家といわれている学者です。でも私は、佐伯氏の主張を受け入れることは出来ません。記事の内容は、朝日新聞をはじめとする日本の主要メディアの考え方と、基本的に変わらないからです。まず、佐伯氏は、SNSで発信される西側諸国にとって不都合な情報を、「陰謀論」と受け止めているようです。だからSNSにおける「虚偽情報」と「客観的事実に基づく情報」を寄り分ける努力や工夫については何も語られていません。そして、トランプ氏が「権力をもつ既存のメディア」対「真実を語るSNS」という構図を利用したと指摘し...シリアのクルド人問題と、佐伯氏のSNS論
アサド政権の恐ろしさや惨酷さを印象づけるような報道が、朝日新聞でまだ続いています。私は、日本とシリアの一般の人々の交流がほとんどなかった国に関し、これほど熱心にその恐ろしさや惨酷さを伝える報道が続く理由は何なのか、と考えてしまいます。恐ろしい強権政治や抑圧政治の実態、目を背けたくなるような惨酷な拷問や収容所の様子、強制失踪、麻薬密造、こんなことをする独裁国家が本当に存在するのか、と思うような報道が朝日新聞で続いていましたが、さらに、その後「化学兵器疑惑」の報道がなされたのです。化学兵器で妻子を亡くした住民の証言が、その悲惨さや惨酷さを伝えています。でも、朝日新聞の記事には、アサド政権が化学兵器を使用したとする文章はありません。断定はしていないのです。ただ、記事全文を読むと、アサド政権が化学兵器を使用して多...アサド政権崩壊の次は・・・
私は、ウクライナ戦争に関し、日本の主要メディアが、読者や視聴者に、客観的事実をつた伝えていないと何度も書いてきました。ロシア側の主張やウクライナの親ロ派と言われる人たちの主張は、ほとんど取り上げられなかったからです。両方の主張をきちんと受け止め、客観的事実を確かめて戦争を止める努力が必要なのに、はじめからロシアを敵視するアメリカの戦略に従って、ロシアに制裁を科し、ウクライナ側の戦争支援の報道を続けてきたと思います。日本政府がそうした姿勢だからといって、メディアもそれに同調するのは間違いだと思います。メディアには、国際社会全体の利益のために、すべての人々に客観的事実を伝える責任があるのです。客観的事実を伝えることが、権力を監視することにもなるのだと思います。それをしないのは、平和主義の否定であり、民主主義の...アサド政権報道、メディアは権力の道具?